みなさん、こんにちは。食品生命科学科、特任助教の小手森です。
今回は、「食の情報」のひとつの実習科目、「公衆栄養学実習」を紹介します。
この実習では、人々の健康を脅かす要因を探り、健康に楽しく暮らすために必要な取り組みについて、国や自治体・企業などの立場から考えます。
実習の集大成として、最終日に事業計画コンテストを行いましたので、最優秀賞チームにインタビューを行いました!
● ずばり、事業名を教えて下さい!
私達が考えた事業内容は「STOP糖尿病!~宿泊型糖尿病予防プログラム~」です。
● どんなアイディアなのでしょうか?
私たちは、国・自治体の立場から徳島県に住んでいる老年期の方を対象に、宿泊型の糖尿病予防プログラムを考えました。具体的には、2泊3日の旅行プランの中で、糖尿病になりにくい食生活や運動を体験しながら糖尿病について学ぶ企画となっています。
● とってもユニークですね。このアイディアが生まれたきっかけを教えてください!
厚生労働省が調査を行っている人口動態統計調査によると、徳島県は糖尿病による死亡率が全国平均に比べて高く、令和元年には「全国ワースト1位」となっています。糖尿病は脳卒中や心筋梗塞のほか、失明など様々な合併症を引き起こす怖い病気です。一方、糖尿病をはじめとする生活習慣病は、普段の食生活を振り返り、適度な運動をすることで予防できることを麻布大学の授業で学びました。プロジェクトを企画するのであれば、「自分たちが参加して楽しい」、そして「参加したいと思うもの」を作り上げようと考えたことからこの宿泊型の事業計画を考案しました。
● 事業計画を考えるためにどんな方法を使ったのですか?
始めに、プリシードプロシードモデルという要因分析のモデルを使って、糖尿病に至る要因と糖尿病に罹患したことでQOL(生活の質)にどのような影響を与えるのかをまとめました。その後、糖尿病を予防するためにはどのような食生活上の課題を解決すべきか優先順位をつけ、この課題を解決するための事業計画案を作成しました。
昨年度のプリシードプロシードモデル作成の様子です。
今年はコロナ禍のため、Googleのシステムを使って遠隔で作成しました。
● 糖尿病のことも学べるというユニークな旅行プランですが、心配なことがひとつ。旅行に行ったらおいしいものをたくさん食べたくなりますが、どのような工夫を考えていますか?
旅行プランのひとつである観光スポット巡りでは、ただ観光スポットを巡るだけではなく、その土地ならではの体験活動を取り入れることを考えました。例えば、徳島県では「田舎そば作り」が有名です。大自然に埋もれるような感覚で体験し、地元の方と一緒に触れ合いながら田舎そば作りを楽しめたらと考えています。他にも、”徒歩”を中心とする運動をしながら観光をすることで、「食べる」以外の魅力を一緒に発見できる活動にしたいと考えています。
また、生活習慣はすぐに変わるものではないので、プログラム実施終了後にはIT技術を活用したアフターサービスを考えています。糖尿病重症化予防に特化した「七福神」というアプリがあります。このアプリでは、生活習慣の改善を「七福神」が応援してくれ、楽しく生活習慣を改善することができます。宿泊中に提供する食事を通じて、おいしくヘルシーな調理方法や適切な食事量を体験してもらい、アプリを活用して無理なく継続できるような支援につなげたいと考えています。
七福神の紹介ページはこちら↓
最優秀チームの皆さん、ありがとうございました!
他にも魅力的な事業がたくさんあり、学生さんのアイディア力に驚かされました。
ぜひ、この実習で培ったデータ分析力、コミュニケーション力を人々の健康づくりに役立ててくださいね。
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食の情報分野では、主に人の集団を対象に、データサイエンス(統計学やパソコン技術)を活用して、食と健康のかかわりを地域・社会的背景を踏まえたマクロな視点から捉えます。子どもから高齢者まで、様々なライフステージの人々が抱える健康課題の解決策を立案し、社会へ実装する(組み込む)プロセスを学んでいます。
↓↓↓ 本学の「食のデータサイエンティスト育成」についての取り組みが、新聞やネットニュースで取り上げられています。 ↓↓↓
麻布大学 食品生命科学科の新たな取り組み
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