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養殖方法で味は変わる?【食の機能07】

皆さんこんにちは。食品分析化学研究室の齊藤です。今回は前回の良永先生による食品分析化学研究室の紹介の続きで、マガキを用いた研究を一つご紹介いたします。

飽食の時代、私たちは常により美味しいものを求めています。生産者の方々も、食品に付加価値を付けてブランド化する試みを盛んに行っています。食品分析化学研究室で行っているマガキの研究では、主に養殖業者さんと連携して、生産方法の違いが味にどのように影響するのかを調べています。

「養殖方法で味は変わる?」

一般的なマガキの養殖では、写真左側のように、ホタテの貝殻を連ねたコレクターを用いて養殖を行います。全体的に付着生物に覆われていますし、密集して育つため、形がいびつになります。それに対して、シングルシードと言って、一定サイズまで育てたマガキを1個体ずつばらして網かごに入れて垂下する方法があります。この場合、カキは独立した状態で育つため、丸みを帯びた良い形に成長し、身入りも良く、商業的にも特にオイスターバーで好まれています。写真は長崎県小長井地区の沖合いで養殖業者さんが飼育中の通常垂下マガキとシングルシードを見せてくださったときに撮影したものです。

図1 通常垂下法(左)およびシングルシード法(右)

私たちはこれら2つの養殖方法で育ったマガキの遊離アミノ酸量を比較しました (図2)。

その結果、シングルシードマガキの方が甘味やうま味に関する遊離アミノ酸が統計学的に有意に多いことがわかりました。同じ漁場でも養殖方法が違うと味が異なるのですね!

図2 養殖方法の異なるマガキの主要遊離アミノ酸の比較 (*: p <0.05, **: p <0.01)

詳細はこちらの論文をご覧ください。

ちなみに、この実験に用いたシングルシードマガキは長崎県小長井産の華漣 (かれん)というブランドマガキで、2012年に行われた日本オイスター協会主催の第1回カキ日本一決定戦で優勝しています。

このように、味に関する根拠を科学的に数値化して示していくことで、生産者の方々の美味しいものづくりに対する思いを、消費者のみなさんに伝えていくことができればと思っています。


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●食品分析化学研究室のYouTube動画

https://www.youtube.com/watch?v=kAVu9J0DONM

●齊藤先生のYouTube動画

https://www.youtube.com/watch?v=3jg_bmCVq1c

●良永先生のYouTube動画

https://www.youtube.com/watch?v=0DYv6_OtBYw&t=1s

●食品分析化学研究室のラボナビはこちら

https://lab-navi.azabu-u.ac.jp/lf-05/

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