本日は、連載「食の機能」第8弾。食品栄養学研究室の守口 徹教授による授業紹介です!
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今回は,「食の機能」のひとつの実習科目,「栄養学実習」を紹介します. この実習は,1年後期に学んだ「栄養学」の一部をヒトや生体試料,実験動物を使って自分の目で確認することを目的に2年前期に行なっています. また,実験力,観察力を養い,レポート作成を通じて,結果を理論的に考え,どう相手に伝えるか?という座学とは異なる面白さに触れることができます.
まず,「基本味の識別試験」. これは,食物の“おいしさ”をどれだけ判断できるかを自身で体験するもので,全員が挑戦します. 濃度の低いそれぞれの溶液,甘味,酸味,塩味,苦味,旨味の5種の基本味に,無味の水を加え,さらにどこかの味を1本用意して,計7つの試料を識別(味見)します. これが,なかなか難しいんですよ! これまで933名の学生が挑戦し,7点満点中6~7点の合格者は,たった7.6%です. 私たちの普段の食生活でどれだけ味の濃いものを食していたかがわかります.
また,「デンプンの分解に関する実験」では,各グループの学生の唾液(アミラーゼ)を用いてその分解の程度を観察します(写真).
実験用マウスを用いて行なうのは,「食物繊維の機能に関する実験」です.マウスに食物繊維を5%含む通常飼料と食物繊維をほとんど含まない飼料をそれぞれ数日間食べさせて,24時間の排泄物(糞便)の大きさや量などの変化を観察します. 食物繊維は消化吸収されないので,生理的意義はないと考えられてきましたが,近年,消化管内の環境改善など,私たちの健康と密接に関係していることがわかっています. 通常飼料を食べているマウスのウンチと比べて,食物繊維を食していないマウスのウンチは,大きさも小さく,量も少ないものでした.この実験から,食物繊維の機能を深く考察していきます.
本実習を通じて,私たちの食生活を見直す機会になればと考えています.
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